プロテニスの試合を観戦していると、プレーヤーがサーブ前に複数のボールを手に取り、その中から一つを選んでサーブする姿が見られます。この選球行動は一見すると単純な儀式のように見えるかもしれませんが、実際にはプロ選手たちが高い競技パフォーマンスを発揮するための重要な過程です。本記事では、プロテニスプレーヤーが一試合で使用するボールの数や、ボールを選ぶ際に何を基準にしているのかについて詳しく解説します。
プロのテニスの試合をみていると サーブの前に選手がボールを吟味しているのを
よく見かけます これって何かを見て選んでいるのでしょうか?
だとしたらその理由は?
プロテニスの試合で使用されるボールの数
まずは、プロテニスの試合で一体どれくらいのボールが使用されるのかについて考えてみましょう。試合を通じて使われるボールの数は、試合形式や大会のルール、試合の進行状況などによって変動します。以下にその詳細を説明します。
1. 試合開始時のボール
プロテニスの試合では、試合開始時に6個の新しいボールが支給されます。これらのボールは選手によって交換されるまで使用されます。選手たちはこれらのボールをサーブやラリーで使用しますが、ボールはラリーの繰り返しで摩耗し、時間が経つごとに状態が変化していきます。
2. ボールの交換タイミング
試合中にボールが摩耗すると、選手たちは新しいボールを要求することができます。通常、最初のボール交換は試合開始から7ゲームが経過した時点で行われます。これは、新しいボールが導入された際の摩耗の度合いを均等にするためです。その後は9ゲームごとにボールが交換されるのが一般的です。このため、試合が進行するにつれて、新しいボールが繰り返し供給されることになります。
3. 使用されるボールの総数
使用されるボールの総数は、試合の長さに大きく依存します。たとえば、3セットマッチでストレートで勝敗が決する場合と、フルセットまでもつれる場合では、当然ながら使用されるボールの数に違いが生じます。平均的な3セットマッチでは約24~30個のボールが使用され、5セットマッチではその倍以上、約50~60個のボールが使用されることがあります。
プレーヤーがボールを選ぶ理由
さて、次にプロテニスプレーヤーがサーブ前にボールを選ぶ理由について解説します。選手たちは単にボールを掴んでサーブするのではなく、いくつかのボールを手に取り、その感触を確かめながら慎重に選択しています。では、彼らはどのような基準でボールを選んでいるのでしょうか?
1. ボールの摩耗具合
プレーヤーがボールを選ぶ際に最も重要視する要素の一つは、ボールの摩耗具合です。試合中に使用されるボールは、ラリーが繰り返されるごとに表面のフェルトが摩耗し、形状や跳ね方が変わります。新しいボールは表面がふさふさとしており、空気抵抗が大きいため、サーブやショットのスピードが遅くなりがちです。一方で、摩耗したボールはフェルトが擦り減っているため、空気抵抗が少なく、より速いサーブが可能です。
プレーヤーは、サーブ時により速いスピードを出したい場合、摩耗したボールを選ぶことがあります。特に、エースを狙いたい場面や、相手に強力なサーブを打ち込みたい場面では、このような選択が重要となります。
2. ボールの圧力
ボールの内部圧力も選手たちが考慮する要素の一つです。ボールの圧力は、時間が経つにつれて徐々に低下する傾向がありますが、その状態はボールごとに微妙に異なることがあります。圧力が低下したボールは、バウンドが低くなり、予測しにくい跳ね方をすることがあります。選手によっては、この特性を活かして相手を惑わせるために、あえて圧力が低下したボールを選ぶこともあります。
逆に、圧力が高くバウンドが良いボールを選ぶことで、コントロール性を重視する選手もいます。特に、正確なショットを要求される場面では、こうしたボールの選択が試合の展開に影響を与えることがあります。
3. フェルトの状態
ボール表面のフェルトの状態も選手が注目するポイントです。摩耗が進んだボールはフェルトが滑らかになり、空気抵抗が減少するため、速いショットを打つことができます。一方で、フェルトがまだ新しいボールは抵抗が大きいため、よりコントロールされたショットを打つことが求められます。
例えば、選手がスライスショットやドロップショットを打つ場合、フェルトが新しいボールの方が適していることがあります。これに対し、パワフルなストロークやサーブを打ちたい場合は、フェルトが摩耗しているボールを選ぶ傾向があります。
選手の個別の好みと戦術
選手がボールを選ぶ際には、摩耗具合や圧力、フェルトの状態だけでなく、個々の選手の好みやその時の戦術が大きく影響します。たとえば、サーブアンドボレーを得意とする選手は、速いサーブを求めて摩耗したボールを好むことが多いですが、ベースラインプレーヤーはコントロール性を重視して比較的新しいボールを選ぶことが多いです。
また、試合の状況や相手選手の特徴に応じて、ボール選びも変わることがあります。相手がリターンが得意な選手であれば、速いサーブを打つために摩耗したボールを選ぶかもしれませんし、逆に相手の足を止めたい場合には、予測しづらいバウンドをするボールを選ぶことも考えられます。
なるほどです なかなか奥の深い話でしたね
プロの技術があってこその ボールの吟味だったのですね
これを分かったうえで試合をみるとまた面白そうです
まとめ
プロテニスの試合におけるボールの使用数や選手がボールを選ぶ理由について見てきました。試合では、多くのボールが使用され、選手たちはそれぞれのボールの特徴を見極めながら、自分に有利なボールを選び取っています。ボールの摩耗具合や圧力、フェルトの状態など、細かな要素を考慮しながら選ばれるボールは、試合の流れや結果に大きな影響を与えることがあります。
これらの選手たちの選球行動を知ることで、次にプロテニスの試合を観戦する際には、ボール選びのシーンにも注目してみると、より深く試合を楽しむことができるでしょう。また、選手たちがどのような意図でボールを選んでいるのかを考えることで、彼らの戦術や心理状態をより理解できるかもしれません。
プロテニスは、技術やフィジカルだけでなく、戦略と心理戦も重要な要素です。ボール選びという一見単純な行動にも、選手たちの知恵と経験が凝縮されていることを感じながら、次回の試合をぜひ楽しんでください。
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