単純計算で1日あたり約6700万円 国会の費用　何故？

日本の国会運営には膨大な費用がかかりますが、一般市民にとってその具体的な金額や理由はあまり知られていないことが多いでしょう。さらに、「なぜこんなに高額な費用がかかるのか？」という疑問を抱く方も少なくありません。この記事では、日本の国会運営にかかる費用を中心に、なぜそれほどの経費が必要とされるのか、そして他国の議会運営と比較してみることで、その背景や理由を掘り下げてみたいと思います。

日本の国会 一回にかかる費用

日本の国会が一度開催されるたびに、実際にどれほどの費用がかかっているのか、というのはなかなかピンとこないかもしれません。実は、国会の運営にかかる費用は数億円規模に上ると言われています。

例えば、2019年の時点で国会を90日間開くための費用は、約60億円と言われています。単純計算で1日あたり約6700万円となります。この費用には、議員や国会スタッフの人件費、国会施設の維持費、議会運営のための経費、さらに安全保障やセキュリティ対策など、さまざまな要素が含まれています。

さらに、国会は「通常国会」と「臨時国会」に分けられ、通常国会は毎年1月から約150日間にわたって開催されます。一方、臨時国会は必要に応じて追加で開催され、これによりさらに費用が増加します。

また、重要な法案審議や予算編成など、大きな議題を扱う場合は、その準備や調整により多くの人員と時間が必要となり、さらにコストがかさむことになります。

具体的な費用内訳

1. 人件費

国会には衆議院と参議院があり、それぞれ約465人と248人の議員がいます。それぞれの議員には、給与、交通費、調査費、スタッフへの支払いなどが含まれます。日本の国会議員の年収は約2000万円から2500万円とされており、これに加え、秘書やスタッフの給与、各種手当も支給されます。

また、議会には多くの官僚、調査員、技術スタッフ、警備スタッフが関与しており、彼らの人件費も大きな負担となります。

2. 施設運営費

国会議事堂やその周辺施設の維持管理、電気や水道といったインフラコスト、さらにはセキュリティ対策も重要なコストです。特に国会は国家の中枢機関であり、その安全性確保には最新のセキュリティシステムが導入されています。

3. 法案審議に関わるコスト

法案作成や審議には多くの専門家や弁護士、さらには各種調査機関の協力が必要です。また、資料作成やデータ収集に関わる費用も膨大です。特に予算案や税制改革に関する議論は、国内外の経済情勢を踏まえた高度な分析が求められ、そのための調査やシミュレーションには莫大なコストがかかります。

4. 議員活動のサポート

議員は選挙区での活動も重要な業務であり、そのための費用（交通費や宿泊費、地元事務所の維持費など）も国の予算から支払われます。特に地方出身の議員は、東京と選挙区の往復が頻繁になるため、これもまた大きな経費の一部です。

なぜこれほど多額の費用がかかるのか？

では、なぜ国会運営にはこれほどの費用がかかるのでしょうか？理由は大きく分けて三つあります。

1. 国会の重要性と責任

国会は日本の立法機関として、法律の制定や予算の審議を行う場所です。そのため、国の方向性を決める重要な役割を果たしており、全ての審議が適切に行われるためには、専門的な知識や十分な資料、そして法的なサポートが必要です。このため、国会の運営には多くの人員とリソースが投入されます。ミスや遅れが許されない重要な場であるため、慎重かつ効率的に進行するための体制が整えられています。

2. 議員活動の支援

国会議員は、法律の策定や国の政策に関する議論だけでなく、地元選挙区での活動も求められます。選挙区の声を国会に反映させるための調査やヒアリング、さらには各種会合や意見交換など、多岐にわたる活動が必要です。これらの活動を支えるための費用が、国会運営にかかるコストの一部として計上されます。

3. 安全保障とセキュリティ

国会は国家の中枢であり、テロリズムや他国からのサイバー攻撃など、さまざまな脅威にさらされています。このため、国会議事堂やその周辺地域は厳重なセキュリティ体制が敷かれており、その維持には莫大なコストがかかります。また、国会の運営が一時的にでも停止すれば、日本全体に大きな混乱を引き起こす可能性があるため、常に最高の警備体制が必要とされます。

海外の状況はどうか？

では、他国の議会運営にはどれほどの費用がかかっているのでしょうか。ここでは、いくつかの主要な国々と比較してみます。

1. アメリカ

アメリカ合衆国の連邦議会（Congress）は、世界でも最もコストのかかる議会の一つとされています。連邦議会の年間予算は約40億ドル（約6000億円）にも上り、その多くが人件費や施設運営費に使われています。アメリカの議会議員は約535人で、彼らに対して高額な給与が支払われるだけでなく、秘書やスタッフの人数も多く、それがコスト増の一因となっています。

特にアメリカでは、ロビー活動が非常に盛んであり、議員への情報提供や法案作成にかかる費用も莫大です。また、アメリカ議会は、国内外の安全保障や経済政策に関しても重要な役割を担っているため、その運営には専門的な知識と高いレベルの調査が求められます。

2. イギリス

イギリスの議会（Parliament）もまた、高額な運営費用がかかることで知られています。イギリスの議会は上下院から成り、特に下院（House of Commons）における活動が活発です。イギリスの議員数は650人で、彼らの給与や活動費に加え、議会施設の維持やセキュリティに多額の費用がかかります。イギリス議会もまた、厳重なセキュリティ対策が必要であり、そのためのコストが国の予算を圧迫しています。

3. フランス

フランスの議会も日本と同様に、国の政策決定において重要な役割を果たしています。フランスの議会は上下院から成り、議員数は約920人です。フランスでは、議員の活動費用が厳格に規定されており、日本やアメリカに比べて若干コストが抑えられていると言われていますが、それでも議会運営全体の費用は膨大です。